子どもを持った友人から「子どもをバイリンガルにするには?」という質問をされることがあります。早期教育で英語を習わせようか、子どもを外国で生活させて帰国子女にしようかと真剣な様子。やはり我が子には苦労をさせたくないという思いがあるのでしょう。
結論から言うと、私は早期のバイリンガル教育は難しいと思っています。これは英才教育についての記事にも書いたことなのですが、1:子どもの能力 2:環境 3:子どもの意欲 の3つが必要不可欠であると考えているからです。


昨日ご紹介した『バイリンガリズム』(東照二)には子どもの言語習得に関してのマイナス面も書かれています。
東氏は「語学の天才として子どもを扱いたいがために成功例ばかり引用されたり、またそのようなケースの子どもばかりが注目される傾向があるようだ。しかし、言語習得を不得手とする子どもも多くいる」と書いています。
一般に「外国で子どもの頃から何年も暮らせばバイリンガルになる」と信じられていますが、全ての子どもにあてはまるわけではありません。
言語学者のジャイルズとバーンは言語の習熟度と言語に対する態度の関連を調べました。すると、その言語の習得に対して肯定的、意欲的な態度の人ほど習熟度が高く、否定的な人ほど習得が上手くいかないという結果が出ました。
この調査で分かったのは、滞在年数や子どもの年齢よりも本人の意欲の方が言語の習熟度に大きく影響するということでした。逆に言えば、「なんでこんなところに来ちゃったんだろう」「日本にずっといたかったのに」というネガティブな心理状態の子どもはあまり言語の習得が上手くいかないのです。
もちろん子どもの才能や適性、第二言語教育の環境、家庭環境なども関わりがあります。親が「英語が大嫌いで、苦労しっぱなしだったからせめて子どもには」という押しつけのような態度では子どもも英語嫌いになってしまうでしょう。また家庭でも学校でも子どもをサポートする教育システムが整っていなければなりません。
バブルの時代、帰国子女は大企業への就職パスポートを持っていると言われましたが、不況の世の中それほど優遇されているわけではありません。また親の都合でしぶしぶ外国へ行った子、内向的な性格の子は、言葉の通じない環境で生活するのは大変な苦労があったと思います。「帰国子女ならペラペラ」という思いこみとのギャップに苦しむ子どもきっといるでしょう。
そして実は、この「英語ペラペラ」には重大な落とし穴があるのです。それについては次回。【麻理】

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