ファンタジックな昭和30年代『ALWAYS 三丁目の夕日』と『夏への扉』

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ALWAYS 三丁目の夕日
舞台は昭和30年代の東京、夕日町三丁目。空には作りかけの東京タワーがそびえ、地面には路面電車が走っています。戦争から立ち直りつつある東京で、つつましい生活を送る人々の悲喜こもごもを描いています。

なんせ連載が始まってから30年。子どもの頃から西岸良平の作品は読んでいます。代表作『夕焼けの詩』が映画化された『ALWAYS 三丁目の夕日』を見に行きました。

舞台は昭和30年代の東京、夕日町三丁目。空には作りかけの東京タワーがそびえ、地面には路面電車が走っています。戦争から立ち直りつつある東京で、つつましい生活を送る人々の悲喜こもごもを描いています。

笑いあり涙ありで、映画の途中あたりから、鼻をすする音が聞こえてきました。私もこらえきれずに涙ぐんでしまった場面も。芸達者な役者さんたち(特に子役の演技)や、当時を忠実に再現した町のセットやCGにうなりました。万人にお勧めできる映画です。

でもこの映画を見て、安易に「世知辛い現代よりも、人情があった昔の方が良かった」とは書きたくないのです。思い出は常に美しいものだからです。

貧しいからこそ起こった犯罪や差別、無知・無責任を原因とするプレ高度経済成長期からの公害問題など、醜く暗い部分は描いていません。この映画は昭和30年代の良い部分を描いたファンタジーなのです。

ハインラインのSF小説『夏への扉』をご存じですか? 未来世界が2001年という設定ですから、もうすでに古典となっているタイムスリップSFなんですが、学生の頃から何度も読んでいます。その中の引用。

「もしぼくの息子の時代になってタイムマシンが完成したら、あるいは息子が行きたがるかもしれない。その場合には、いけないとはいわないが、けっして過去へは行くなといおう。過去は非常の場合だけだ。

そして未来は、いずれにしろ過去にまさる。誰がなんといおうと、世界は日に日に良くなりまさりつつあるのだ。人間精神が、その環境に順応して徐々に環境に働きかけ、両手で、器械で、かんで、科学と技術で、新しい、よりよい世界を築いてゆくのだ」(ロバート・A・ハインライン『夏への扉』)

もうコッパズカシイくらいまっすぐで、青臭く感じるかもしれません。でも私大好きなんですよ。夕日町に暮らす人たちは、ハインラインの書いているようなことを信じていたからこそ、地に足つけて生活してきたんだと思うんです。

未来には夢も希望もない。お先真っ暗。ああ、昔の方が良かった……なんて大人が嘆いてしまって、今の子どもや若い人たちがどうやって頑張るっていうんです? そんなことを軽々しく言う老人は無責任すぎます。

『ALWAYS 三丁目の夕日』は「あのころは良かった」という懐古趣味に引きこもるための映画でなく「よっしゃ、自分も未来に向けて頑張ろう!」と前を向くための映画ですね。【麻理】

ごめん、でも正直言うと、映画よりも原作の方がはるかに素晴らしい。原作の登場人物の繊細さに比べると映画の登場人物はやや描き方が荒い気がする。原作をぜひ読むべし。

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球体関節人形作家・秋山まほこ氏の作品。ある匿名の読者さんから教えていただきました。

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