「世界一頭のいい人間になるぞ!」と『ブリタニカ百科事典』全32巻、3万3000ページを読破したA・J・ジェイコブズ、35歳。積み上げると125センチにもなる、65000項目の大百科事典を、来る日も来る日も読み続けた彼の読書日記が『驚異の百科事典男』です。
うっふっふ。実は私は19歳の時に、小学館の『日本大百科全書・ニッポニカ』全26巻を読破しているのです。ジェイコブズ君、甘いわね(先輩ぶってみた)。ニッポニカは総項目数13万、6000人の執筆者が参加。全て新立項、新原稿。全ページカラーという出版当時画期的な大百科事典でした。
当時まだCD-ROM版はなく、紙でできた本の辞典は26巻フルセットで20万円もしました。中学生だった私は父親に「塾に行くかわりに、その分の代金で百科事典を買って下さい。必ず全部読みます」と頼み込んで買ってもらったのです。
理由はこのジェイコブズ君と同じ。「世界一本を読んでいる人間」になりたかったから。子どもの頃から変人だった私は本と機械が一番の友だちでした。すべてのことは図書館で学んだと言っても過言ではありません。
そしてジェイコブズ君が聡明すぎる父親に劣等感を持っていたように、私は非常にIQの高い妹にコンプレックスがあって「この先妹より頭が良くなることはないだろう」と早くに悟りました。
しかし幸い、私は飲まず食わずでも何時間でも勉強することができたし、親や教師に命令されたことは必ず実行するロボットのような子どもでした。頭の処理速度では劣るかもしれないけど、ひたすら情報を詰め込む方式ならイケるかもしれません。そして私は読書狂(ビブリオマニア)への第一歩を踏み出しました。

小学生の時。学校の図書室で毎日10冊ずつ本を借りて読み、卒業するまでに辞書・百科事典以外の蔵書1万5000冊を読破しました。子供用の本は活字が大きいので授業中にでも数冊読めました。当時は紙の貸し出しカードでしたから、もし今でも保存されていれば、当時の全てのカードに私の名前が書いてあるはずです。
中学校に入った時に近所に市営図書館ができました。1人7冊まで借りることができたので、毎日自転車で通って、学校の図書館の本5冊に加えて7冊を借りました。美術部、アニメ部、図書委員、同人誌活動、受験勉強もしなければならなかったので、時間を節約するために速読を学びました。もちろん本による独学。

「新潮文庫の100冊」「歴代江戸川乱歩賞受賞作」「古典SF作品」など自分でテーマを決めて読み倒していきましたが、小学校の時に百科事典を読まなかったことがずっと心にひっかかっていました。
そして「この年齢で百科事典を全て読んだ人間はいないだろう。よし、やってみよう」と思い立ちました。(つづく)【麻理】

今日のサイト
ドラえもん、ついに最終回。(あんりみてっど)(※リンク切れ)
面倒でもぜひzipでダウンロードしてほしい。泣けて困った。子どもの決意は大人の決意よりもずっと強いことがあるのだ。