1996年公開の大ヒット映画『Shall we ダンス?』のハリウッド、リメイクバージョン。リチャード・ギアとジェニファー・ロペス出演。日本版に忠実に作ってありますが、西洋人だけあってダンスシーンはセクシー&エレガント。やっぱりタキシードやドレスの国ですね。
もう始めっから終わりまでずっと涙腺ゆるみっぱなし、胸が高鳴りっぱなし。一人で見に行って良かった。最初に断っておくと評価は激甘です。そりゃそうだわよ。だって元社交ダンサーなんだもの。
私が一番最初に男の子と組んで踊ったのは、高校のプロムでした。以来私はずっとダンスに魅せられてきました。足の爪が全部剥がれてつま先が腫れ上がるほど練習して大会に出たり、ダンサーとして全国あちこちを営業して回ったり、と一時期は踊るために生活しているようなものでした。
途中ラテンダンスやアルゼンチンタンゴにも手を伸ばしましたが、やっぱり社交ダンスが一番好きです。
なんと言ってもこの映画の見せ場は「競技会」。競技ダンスというのは見た目の優美さとは違って過酷なスポーツです。役者さんたちも練習は大変だったろうなあ。でも映画の中の彼らの笑顔は、本当にリアルなんです。踊る者だけが知る喜びが溢れている。キラキラと輝くようなホンモノのダンサーの笑顔なんですよ。
番号を呼ばれてピカピカのフロアにエントリーする時、クイックステップでフロアを飛ぶように駆け抜ける時、ルンバでリーダーとぴったり息が合った時、ワルツのピクチャーポーズで観客から拍手がわき起こった時。ダンサーはもうこのままここで死んでもいいと思うぐらいの至福を味わうのです。
残念ながら私には現在リーダーがいないのでこの先もう競技会には出られないかもしれません。でもスポットライトを浴びて踊らなくても、ダンスはいつでもどこでもできます。大会に出なくてもほんのちょっとステップを踏んでみるだけで幸せになれるのです。ダンスにはそういう力があります。
ダンスは踊れないからと、どうかこの映画を敬遠しないでください。役所広司だってリチャード・ギアだって映画の中で「ダンサーの笑顔」を見せていますよ。
この映画によって少しでもダンス人口が増えることを願っています。いつかどこかのダンスフロアやクラブで踊っている私を見かけたら、ぜひ1曲踊ってくださいね。Shall we Dance?【麻理】
※プロム……男子学生はタキシード、女子学生はドレスで参加するアメリカの卒業ダンスパーティー。
リーダー……社交ダンスで男性のダンサーのこと。
ピクチャーポーズ……動きを止めて観客にアピールする決めのポーズ。
今日のサイト
不思議な味のあるアメリカ人アーティスト・Moira Hahn。こちらのギャラリーでは彼の和風アートが中心。カッコイイなあ。